こんにちは南町薬局の金野です。今回はコンタクトレンズと目薬についてお話したいと思います。
コンタクトの上から目薬をさせるのでしょうか?薬局でも良く聞かれます。
医師によっても考え方が違うので、指示があったときは医師に従ってほしいのですが、今回は私の考え方をお伝えします。
何故コンタクトの上から目薬をしてはいけないのか?
市販で売られている目薬もコンタクトOKと書いてあるものがありますね。この判断基準になっているのが主に防腐剤です。コンタクトを付けたまま目薬をさすと、コンタクトに防腐剤が吸着してしまいます。吸着するとコンタクトをしている間ずっと目に防腐剤が触れてしまうことになる為、目の炎症を起こすリスクが高くなってしまいます。
目薬に入っている防腐剤
防腐剤には種類があります。
陽イオン性界面活性剤 | ベンザルコニウム塩化物、ベンゾドデシニウム臭化物、クロルヘキシジングルコン酸塩等 |
パラオキシ安息香酸エステル類 | パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等 |
アルコール類 | クロロブタノール等 |
その他 | ソルピン酸、デヒドロ酢酸ナトリウム等 |
この中で最も強力な殺菌力を持つのがベンザルコニウム塩化物です。その殺菌力を期待して多くの目薬に添加されています。しかし強力なだけに欠点もあり、細菌だけでなく目の表面にある角膜細胞にも障害作用を示してしまいます。
当薬局でよく取り扱う目薬の防腐剤を調べてみました。
点眼薬 | 防腐剤 | コンタクト可否
添付文書 |
コンタクト可否
メーカーHP |
ヒアレイン点眼 | クロルヘキシジングルコン酸 | 記載なし | 〇(ハード、ソフト問わず)(カラコン×) |
ジクアス点眼 | クロルヘキシジングルコン酸 | 記載なし | 〇(ハード、ソフト問わず)(カラコン×) |
フルメトロン点眼 | ベンザルコニウム塩化物 | 記載なし | ×(ハード、ソフト問わず)(5-10分後に再装着) |
アレジオン点眼 | なし | 記載なし | 〇(ハード、ソフト問わず)(カラコン×) |
クラビット点眼 | なし | 記載なし | ×(防腐剤以外の成分が影響を与える可能性あり) |
タリビッド点眼 | なし | 記載なし | 記載なし |
パタノール点眼 | ベンザルコニウム塩化物 | ×(ソフトのみ)(10分後再装着) | ×(ハード、ソフト問わず) |
ザジテン点眼 | ベンザルコニウム塩化物 | ×(ソフトのみ)(15分後再装着) | 記載なし |
ゼペリン点眼 | パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、 クロロブタノール | 記載なし | ×(ハード、ソフト問わず)
(5-10分後に再装着) |
ラクリミン点眼 | ベンザルコニウム塩化物 | ×(ソフトのみ)(5-10分後に再装着) | 記載なし |
サンコバ点眼 | ベンザルコニウム塩化物 | ×(ソフトのみ)(5-10分後に再装着) | 記載なし |
ピレノキシン点眼 | ベンザルコニウム塩化物 | ×(ソフトのみ)(5-10分後に再装着) | 原則× |
コソプト点眼 | なし | 記載なし | ×(ハード、ソフト問わず)(薬の吸収について検討結果なし。) |
これを見ると、ベンザルコニウム含有はコンタクト×ですが、それ以外もダメなものがあることがわかります。
添付文書(薬の説明書)ではソフトコンタクトレンズのみ併用不可と記載されていても、メーカーではハードも含め併用不可と記載されているものもあることが分かります。これは、コンタクトに吸着するか否かという観点と、病気の治療という観点で評価が異なるためと推測されます。
コンタクトを外したほうが良い理由は、防腐剤の吸着以外にも薬の吸収性の問題もあるため、薬の効果を正しく発揮させるには外して点眼した方がよいと考えられます。
結論
基本的にはコンタクトを外して点眼する。
理由:薬の吸収に影響が出ないとは限らないから
結膜炎やものもらいなど病気の時はコンタクトは中止する。
理由:コンタクトをすること自体が目の病気を治りにくくするため
花粉症やドライアイなど症状の予防または軽症の場合はコンタクトの上からでも可能。ただし、ベンザルコニウム含有の目薬はコンタクトを外して点眼する。
理由:コンタクトにベンザルコニウムが吸着するため
まとめ
目薬がコンタクトに影響を与えるかではなく、コンタクトをする事が病気にどんな影響があるかを考えることが大切です。仮にコンタクトをして良い目薬だったとしても、外したほうが早く治るのなら、外すべきだと私は思います。
コンタクトの使用可否について不安な時は、ぜひ薬剤師に相談して下さい。よりよい薬の使い方を一緒に考えましょう。
<採用情報>
現在南町薬局、武隈調剤薬局ともに薬剤師の募集はしておりません。 |
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