こんにちは南町薬局の金野です。
今回は痛風になったときの薬の使い方について解説します。
痛風とは
よく足の親指の付け根に好発する、関節の腫れ・痛みを生じる病気です。正式には痛風関節炎と呼びます。
痛風関節炎の原因
痛風関節炎の原因は尿酸です。尿酸は血液に溶けにくい性質を持っており、尿酸値が高い状態が続くと結晶化してしまいます。これをMSU結晶と呼びます。調べてみると、MSU結晶はとげのような形をしていて、見るからに痛そうな結晶であることが分かります。→参照:富士薬品HPよりMSU結晶の写真
このMSU結晶が関節内に溜まっていく事、または剥がれ落ちる事で痛みが発症します。
薬の使い方
痛風になったときの薬の使い方には注意点があります。
まずは痛み、腫れを抑えることが最優先
痛風の原因は尿酸と説明しました。ならば尿酸値を下げる薬を飲めばよいのですが、実は尿酸値を下げると痛風の痛みが悪化することがあります。なぜなら、尿酸値を下げると結晶が溶けるため、結晶のとげがぽろっと剥がれ落ちてしまうことがあるからです。
ただでさえすごく痛いのに、さらに痛くなったら大変です。痛風発作で痛いときは尿酸値を下げる薬は使わずに、痛み止めだけ使用します。
痛みが落ち着いたら、尿酸値を下げていく
尿酸値が低い状態を続けていく事で、MSU結晶(とげ)は徐々に溶けていきます。この結晶を減らす、なくすことが治療の目的です。
痛みがなくなったら、薬を使って、尿酸値を下げていきます。
このとき、尿酸が一気に下がりすぎないように薬を徐々に増やしていく事が重要です。
一気に下げるととげが剥がれて発作が出る可能性があるからです。
結晶が溶けるまで、低い尿酸値を維持するために薬を飲み続ける
尿酸が血液に溶ける限界濃度が6.4mg/dLと言われていますから、それより低い6mg/dL以下になるように薬で尿酸値を下げていきます。その後はMSU結晶が溶けるのを待ちます。
MSU結晶は溶けるのに時間がかかるため、薬は長期的に服用する必要があります。
また、尿酸値が高い状態が長いほど、結晶がたくさんできているので、それだけ溶けるまで多くの時間がかかります。
尿酸値が下がったら薬を飲まなくても良いわけではないので、勝手に止めないようにしましょう。
もし、尿酸値を下げる薬を飲んでいるときに発作が起こったら?
痛いときは尿酸値の薬を飲まないと説明しましたが、もう飲んでいるときに発作が起きたらどうすればよいでしょうか?
薬を止めると、尿酸値が急に高くなり結晶化が進み、痛みが出ます。
薬を増やすと、尿酸値が急に低くなり結晶が剥がれ、痛みが出ます。
痛みが出ているときは、痛みを悪化させないことが重要なので、尿酸値を変動させたくありません。よって薬はそのままの量で飲み続けます。追加で痛み止めを服用して、痛みが治まるのを待ちましょう。
尿酸値の薬を飲んでいるときに痛くなったら尿酸値を下げる薬は止めずに痛み止めを飲みましょう。
まとめ
初めて痛風発作が起きたときはまず痛み止めを飲む。
痛みが治まったら尿酸値を下げる薬を飲む。
尿酸値を下げる薬を飲み始めたらすぐには止めない。
尿酸値を下げる薬を飲んでいるときに痛くなったら、薬は止めずに、痛み止めを追加して飲む。
<採用情報>
現在南町薬局、武隈調剤薬局ともに薬剤師の募集はしておりません。 |
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