インフルエンザについて

こんにちは南町薬局の金野です。

最近インフルエンザが流行していますね。インフルエンザの薬をもらった方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。薬は正しく使用しないと効果を最大限に発揮できないため、注意すべき点を理解しておきましょう。

今回はインフルエンザについて解説します。

インフルエンザ治療薬

インフルエンザ治療薬は2パターンの効き方があります。

インフルエンザのウイルスが細胞の中から外に出ないようにする薬(ノイラミニダーゼ阻害)

薬剤名 剤形 使用方法 ジェネリック有無
タミフル 錠剤 1日2回 5日間
リレンザ 吸入 1日2回 5日間 ×
イナビル 吸入 1日1回吸入で終了 ×
ラピアクタ 点滴 基本は1回の点滴で終了

(症状に応じて連日投与可能)

×

インフルエンザのウイルスが細胞の中で増えないようにする薬(エンドヌクレアーゼ活性阻害)

薬剤名 剤形 使用方法 ジェネリック有無
ゾフルーザ 錠剤 1日1回の服用で終了 ×

※アビガンもありますが、特殊な条件で使用するため割愛しております。

効き方は違いますが、どれもウイルスを増やさないようにするです。

つまり、ウイルスが増えた後に使用すると効果が乏しくなります。

そのため、発症後48時間以内に使用することが推奨されています。

薬をもらったらできるだけ早く使用するようにしましょう。

異常行動について

ニュースにもなった転落事故。薬の副作用と思われている方も多くいらっしゃるでしょう。

異常行動と薬は無関係です。異常行動は薬の服用有無にかかわらず報告されています

注意すべき方

6~15歳の小児、あるいは16~19歳の男性に多いと言われています。

注意する時期

発熱後2日間は起こりやすいため、注意して過ごしましょう。

インフルエンザ脳症について

インフルエンザ脳症は5歳以下に起こりやすく、無治療では死亡率30%、25%がなんらかの後遺症を危険な病気です。

熱が高くなると脳症になるの?と聞かれることがあります。

脳症の原因は熱ではありません。ウイルス感染に伴う免疫系の過剰反応と考えられています

解熱剤の使用の有無にかかわらず脳症は起こります。

また、解熱剤のボルタレン(ジクロフェナク)、ポンタールを服用していた方がわずかに死亡率が高かったという報告があります。そのため、インフルエンザにはボルタレン(ジクロフェナク)、ポンタールは基本的には使用しません。

ライ症候群について

ライ症候群は小児に起こりやすい脳症です。発症は稀ですが、死亡率が高く、後遺症が残りやすい危険な病気です。インフルエンザや水痘などのウイルス感染時に合併して起こりやすいと言われています。

因果関係は明確ではありませんが、解熱剤としてアスピリン、ボルタレン(ジクロフェナク)を服用していた時にライ症候群を発症した例があります

そのため、小児のインフルエンザには解熱剤としてアスピリン、ボルタレン(ジクロフェナク)は原則投与しないこととされています。

解熱剤について

基本的に解熱剤の使用はお勧めしません。

熱はウイルスに対抗する手段の一つであり、熱を下げることはウイルスにとって過ごしやすい環境を与えてしまいます。

「解熱剤の使い方」でもお話した通り、体が辛くてどうしようもないときに使用しましょう。

→リンク「解熱剤の使い方」https://medicalwest.jp/2023/11/20/1011/

推奨される解熱剤

カロナール(アセトアミノフェン)

現段階で最も安全に使用できると考えられています。

推奨されない解熱剤

アスピリン

サリチル酸製剤(アスピリンに構造が似ているため)

主な製品名:PL、サラザック、セラピナ、トーワチーム、ぺレックス、マリキナ、ピーエイ

ボルタレン(ジクロフェナク)

ポンタール

インフルエンザ脳症やライ症候群に関連する報告があるためです。

一番大切なのはワクチンを打つこと

インフルエンザ脳症やライ症候群は怖い病気ですが、ウイルスが悪さできなければ、発症しません。それにはワクチンを打つことが重要です。

ワクチンを打つことは体にインフルエンザの倒し方を教えるようなものです。

インフルエンザに感染しなくなるわけではありませんが、発病しずらくなる効果、重症化を防ぐ効果があります。

インフルエンザ脳症、ライ症候群は小児に多い病気なので、特にお子様はできるだけワクチン接種をするようにしましょう。

まとめ

インフルエンザ治療薬は感染後48時間以内、できるだけ早く服用しましょう。

解熱剤を使用するとしたらカロナール(アセトアミノフェン)を選択しましょう。

インフルエンザは怖い病気です。ワクチンはできるだけ打つようにしましょう。

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