こんにちは南町薬局の金野です。
今回はマグミットについてのお話です。
便秘で薬を飲まれている方のほとんどが服用した経験があるのではないでしょうか。毎日継続的に飲んでいる方も多くいらっしゃいます。
そんなマグミットですが、使い方に注意が必要な場合があります。服用されている方はぜひご覧になっていただけると幸いです。
マグミットとは
成分名は酸化マグネシウム。便を柔らかくする効果があり主に便秘に使用されますが、胃酸中和反応を利用して胃薬として用いたり、尿路結石の予防として用いることもあります。
マグミットの作用
1,制酸剤。胃酸を中和する。
服用して胃に入ってきたマグミット(酸化マグネシウム)は胃酸と中和反応し、塩化マグネシウムとなります。
MgO(酸化マグネシウム)+HCL(胃酸)→MgCl₂(塩化マグネシウム)
この反応で胃酸が薄まるため、制酸剤としての効果を発揮します。
2,便秘薬。便を軟化、膨張させる。
胃から腸に移動してきた塩化マグネシウムは膵液と反応し重炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウムとなります。
MgCl₂+NaHCO₃(膵液)→Mg(HCO₃)₂(重炭酸マグネシウム)、 MgCO₃(炭酸マグネシウム)
重炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウムは腸管に水を引き込む作用があるため、便が柔らかくなり、かさが増すことで便秘改善効果を発揮します。
3,尿路結石の予防。
胃酸中和反応でできたマグネシウムイオン(Mg²⁺)が尿路結石の原因となるシュウ酸や、尿中カルシウムと結合することでシュウ酸カルシウム結石をできにくくします。
原因となる石ができにくくなるため、尿路結石の予防になります。
マグミットと飲み合わせの悪い薬
1、マグミットとくっついてしまい、吸収が悪くなる薬
●抗生剤(ニューキノロン系抗菌薬、テトラサイクリン系抗菌薬)
●カリウムの吸収を抑える薬(ポリスチレンスルホン酸カルシウム・ナトリウム)
対応法:服用タイミングを2時間以上ずらす。
2、マグネシウムの吸収を良くしてしまうもの
●ビタミンD製剤
対応法:服用してよいが、高マグネシウム血症に注意。
3、マグミットの効果を弱くしてしまうもの
●胃酸を減らす薬
対応法:便秘が改善しているなら問題ないが、改善しないのなら効果不十分のため他の薬へ変更。
4、マグミットで胃酸が薄まり、吸収が悪くなるもの
●リオシグアト
●ジゴキシン
対応法:
リオシグアト:リオシグアトを服用後1時間以上離して後からマグミットを服用
ジゴキシン:服用タイミングを2時間以上ずらす
など。細かく挙げるとまだまだあります。
高マグネシウム血症とは?
初期症状:悪心・嘔吐、口渇、血圧低下、徐脈、皮膚潮紅、筋力低下、傾眠等
重症では呼吸抑制、意識障害、不整脈、心停止に至ることもあります。
マグネシウムを服用していて、上記の初期症状が現れたら服用を中止し、かかりつけの病院を受診しましょう。
腎機能が低下している方、ご高齢の方は高マグネシウム血症を起こしやすいと言われています。
一般的には2g/日を超える摂取は多いため目安にしてください。
まとめ
今回はマグミットについて解説しました。
良く服用されている薬ですが、注意が必要な薬です。
新しく薬が処方されたときは薬剤師に飲み合わせについて相談しましょう。
南町薬局では処方せんをお持ちでない方の相談も承ります。
是非お気軽にご相談ください。
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